agenes(アジェンズ)のスペースメディシン

SPACE MEDICINEスペースメディシン

限界寿命・健康寿命・生殖寿命

限界寿命・健康寿命・生殖寿命

スペースメディシン(宇宙医学)は、アジェンズの最終目標にある「人類を宇宙に適応させる」ために必要な研究です。火星ではなく、居住可能な地球型惑星に移住するにはどのくらいの期間が必要か知っているでしょうか。

現在の理論的に実現可能と言われている航行方式で最速のものは、宇宙ヨット型の探査機イカロス(ブレークスルー・スターショット計画)で光速の約20%の速度(時速にして約2億1600万km)です。もっとも近い恒星系はプロキシマ・ケンタウリ恒星で地球から約4.24光年の距離。イカロスタイプで20年かかります。
もっとも近い地球型惑星は、赤色矮星ロス128恒星 Ross 128 b惑星で地球から約11光年の距離です。
イカロスタイプで55年です。もっとも地球に近い環境と期待されている星は、TRAPPIST-1恒星系内にあり、地球から40光年。片道200年です。

対して、人間の最大寿命を細胞の分裂回数で計算すると、約120年。(図1)
最短の地球型惑星Ross 128 bまで55年ですので、25歳で出発すると到着時は80歳です。とても現地で活動、繁殖できる年齢ではありません。

限界寿命・健康寿命・生殖寿命

そこで、私たちは、「限界寿命」「健康寿命」「繁殖寿命」を長くする方法を考えることにしました。

FEATURES特徴

  • 限界寿命の突破

    限界寿命の突破

    限界寿命を数える方法の一つは、細胞分裂の回数です。私たちの体は細胞で出来ており、細胞は定期的に分裂して生まれ変わり世代交代をしてゆきます。
    分裂時にはDNAをコピーして新しい細胞に引き継ぎます。
    しかし、細胞分裂時にコピーするDNAの末端部分であるテロメアがひとつづつ短くなってゆき、最終的にテロメアが短くなると細胞は分裂ができなくなってしまいます。その細胞分裂回数の限界を、ヘイフリック限界といいます。
    テロメアのエラーは、ガン化や酸化ダメージなど他の要因からも起こり、実際は120まで生きる前に寿命が尽きてしまうケースが殆どです。

    一方で、DNAコピー時のエラーを防ぐための機能も私たちは備えています。
    そのうちの一つがNAD+(ニコチンアミド)代謝回路で、NAD+の前駆体であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)、NR(ニコチンアミドリボシド)を摂取すると、血中NAD+が増加し、NAD+は、テロメアなど遺伝子の転写エラーを修復、遺伝子保護を行うサーチュイン遺伝子にスイッチを入れて、DNAを守る可能性が検証されています。また、DNA損傷など老化原因を引き起こす重要な問題が、慢性的かつ無症状で発生する免疫炎症であり、これをインフラメイジング(炎症老化)といいます。

    アジェンズでは、DNAを保護し老化進行を遅らせ、限界寿命延長する手法として、このNAD+とインフラメイジング対策の研究を行っています。
    マウスレベルでは、50%までDNAを若返らせたという研究発表もあり、ヒト臨床でどの程度まで保護・回復可能かを日々探っています。
    60%若さ維持を可能にすれば、Ross128b惑星に到着した時の肉体年齢は32歳。十分に現地で活動が可能です。そして、その道はそう遠くないと私たちは考えています。

  • 健康寿命

    健康寿命

    遺伝子の保護を行い、細胞分裂回数を延長して限界寿命を伸ばしても、病気になってしまっては長生きできず、また他の惑星での活動も期待できません。
    実際、平均寿命は85以上と伸びていますが、健康寿命は65歳未満とほとんどの場合で生活習慣病など何かしらの病気から、正常な体の維持が出来なくなっているのが現状です。
    実際に、生活習慣のQOL(Quality of Life)が高い方は、低い方と比べても20%若いことがわかっています。中年以上の方で、若く見える方と老けてみえる方の差がQOLにあります。

    老化のQOLに重要な要素は、「食事」「運動」「睡眠」です。(図2)

    健康寿命

    • 「食事」では、老化や病気を進行させる原因物質や過食を避け、必要な栄養素を選択して摂取する。
    • 「運動」では、筋肉運動を積極的に行うことで、血液(静脈)やリンパを循環させ成長ホルモンを増加させる。
    • 「睡眠」では、夜間十分な睡眠をとることで、睡眠中のホルモン産生を妨げずに修復に集中させる。

    そして、もう一つ重要な要素がストレスで、過剰なストレスは免疫を低下させ、免疫炎症の原因にもなることもわかっています。

    老化原因となる代表的ストレスにはいくつか種類があります。

    • 「環境ストレス」紫外線、ウイルスなど感染症、汚染など
    • 「社会ストレス」対人関係、金銭関係、自己矛盾など
    • 「食事ストレス」過食による肥満、拒食によるヤセ、有害重金属の蓄積、異物の摂取など

    老化・生活習慣病を進行させる代表的なダメージキーワードもいくつかあります。

    • 「酸 化」遺伝子や細胞に傷をつけダメージを与え、老化細胞をつくる原因となる。
    • 「糖 化」たんぱく質と過剰な糖が結合し蓄積すると、何もしない不良細胞となる。
    • 「重金属」細胞に蓄積し、正常な活動を阻害する。紫外線と衝突すると活性酸素を生み出す。
    • 「菌 叢」腸内菌叢のバランス崩れで、不要物質の増加、必要物質産生の低下を引き起こし、恒常性異常原因となる。

    これら複雑なストレスやダメージを低減させ、QOLを向上させるためのキーワードが「ホメオスタシス」と「インフラメイジング」です。

    • 「ホメオスタシス」恒常性。細胞間、共生する菌叢間のバランスを整え正常範囲内に保つ。
    • 「インフラメイジング」炎症老化。慢性炎症状態を軽減することで、老化進行を遅らせる。

    これら対策は、現状でもかなりの部分が実現しており、病気にならない、過度な老化進行をさせない為のコントロール方法により、健康寿命を延長することは十分に可能と私たちは考えています。

  • 繁殖寿命

    繁殖寿命

    遠い地球型惑星に到達したとき、肉体年齢が若い活力を維持していても、繁殖することが出来なければ人類は定住することができません。

    現状、一般的に女性が出産可能な年齢は12歳頃から40代前半まで。50歳前後で閉経を迎えると妊娠は不能になります。一方、男性側は12歳頃から高齢まで精子を作り続けることが出来ますが、精子も老化(劣化)することがわかっており、45歳までが適齢と考えられています。つまり男女共に40歳以前までが繁殖適齢期間となります。
    女性の卵子の元となる卵母細胞は出生以前の胎児期に作られており、一生で使える卵子の数は限りがあると言われています。一方で、繁殖可能期間と、女性ホルモン、男性ホルモン、成長ホルモンが十分な時期も一致しており相関性があります。(図3)

    研究のイグジット。一般製品化。

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    繁殖可能なエネルギギッシュな期間を延長するにはどうすればよいのでしょうか。
    女性ホルモンを中心に作るのは卵巣、補助的には脂肪細胞。そして、男性ホルモンは精巣。成長ホルモンは脳下垂体。他部位として甲状腺、上皮小体、副腎皮質と副腎髄質、膵臓ランゲルハンス島などがホルモンを作る部位です。
    ある程度は十分な睡眠や筋肉運動、食事の質でカバーできますが、低下してゆく卵巣機能・精巣機能を回復させるには、限界寿命や健康寿命を延長させる手法とは別に、萎縮した卵巣・精巣の重量を増やし活発に活動させねばなりません。
    栄養的なやり方では、胎盤や卵巣の加水分解物や精巣加水分解物の摂取で卵巣・精巣の重量を増やし性ホルモン産生量を補うことも出来ますが、本質的には再生医療による手法が本命と言われています。

    また、卵母細胞にしても、数に限りはなく再生可能とする研究もあり、精子も活性化し直進泳動性の回復をしている研究もあります。
    アジェンズはこれらの大学研究室と連携し、卵巣・卵母細胞・精巣・精子の再生に取り組んでいます。既に成果も出始めており、不妊症への応用や、男女の若さ維持期間の延長の一端は確認できており、比較的近い将来に実現すると考えています。

  • 宇宙空間のストレス

    宇宙空間のストレス

    重力や安定した空気・温度・湿度がある地球型惑星上と違って、宇宙空間では様々なストレスに晒されます。

    • 「無重力」
      体液や骨、筋肉は重力で下に引かれることを前提に進化して作られているため、無重力下では、体液が分散した状態になり、体や顔など全体がむくんだり、引力に抵抗するための動きをしないために、筋肉や骨が衰えます。その為、寝たきり老人と同じ状態になりいざ地上におりるとすぐには自力で起き上がることすら出来ない状態で、数か月のリハビリ回復を要します。
    • 「宇宙線」
      地上では大気圏が遮ってくれていますが、太陽など恒星から放出される宇宙線は細胞や遺伝子に深刻なダメージを与えます。当然、老化も進行しますし、ガン化などのリスクになります。

    他にも閉鎖空間でのストレスや、食事制限のストレスなど様々なストレスに晒されますが、総じて宇宙空間で無防備に長期間過ごすと急激な老化や病気状態に進行してゆくのが宇宙空間です。これらの問題は宇宙船のエンジニアリング技術でも回避可能と考えられますが、医学的な対策や、地上に降りた後の素早い回復・再生法が必要となります。

宇宙医療のイグジット

宇宙空間で起きる体への影響。特に数年~数十年単位での長期間の影響などは、まだまだ不明なことだらけです。
一方で、現在わかっている問題で、地上生活と共通の課題点は、老化研究の成果の応用が可能と私たちは考えています。

また、数か月以下の短期宇宙滞在でも、宇宙空間でのQOL(生活の質)を向上させようと、JAXAやNASAを始め各国での取組が始まっています。
食事、嗜好品、デザート、飲料から衣服、化粧、エンターテイメントまで、宇宙でのQOLには様々な分野のものが必要です。

アジェンズでは、老化医療研究に加え、宇宙食の研究開発を行っています。

数年内に、認定宇宙食を宇宙飛行士や一般の皆様に提供できるよう、進めています。
誰もが気軽に宇宙旅行に行けるようになるには、もう数十年かかるかもしれませんが、
既にお金を支払うことが出来れば(数千万円という超高額ですが)宇宙に行ける時代になりました。
また、アメリカのNASAや民間のSpaceX社を中心に、人類を火星まで到達させようという計画が進んでおり2033年までに実現するとしています。

たまには、夜、星空を眺めてみてはいかがでしょう。
人類が宇宙に生活の場を移す日は、もう、そこまで来ています。

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